飾りじゃないのよ涙はのコード進行徹底解説|初心者向け簡単奏法
1984年11月14日にリリースされ、歌謡曲黄金期のチャートを塗り替えた中森明菜の10枚目シングル『飾りじゃないのよ涙は』。作詞・作曲を井上陽水、編曲を萩田光雄が手掛けたこの金字塔は、昭和・平成を越え、2026年となった現代の音楽シーンでも色褪せることなく鳴り響いています。近年ではシティポップの世界的再評価や、King Gnuの常田大希をはじめとする気鋭アーティストたちのリスペクト、音楽番組でのセッションなどを契機に、アコースティックギターやピアノでカバー演奏に挑むプレイヤーが後を絶ちません。
しかし、いざ楽器を手にしてコード譜を開くと、「テンポが速すぎて指が追いつかない」「原曲のようなキレのある疾走感が出せない」という壁に直面するケースが目立ちます。本稿では、数々のレジェンドを取材してきた音楽ジャーナリズムの知見と現場の演奏理論を融合させ、原曲のキー設定から難関コードの押さえ方、挫折を防ぐ実践的なバッキングの技術までを徹底解剖します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:原曲キーはEm(ホ短調)、テンポはBPM 154前後であり、サビは「4度進行(サークル・オブ・フィフス)」を骨格とした力強い推進力を持つ。
- 要点2:ギター初心者はカポタストなし(Capo 0)のEmキーで基本ローコードを活用し、頻出する難関「B7」を簡易フォームへ置き換えることで即日演奏が可能。
- 要点3:井上陽水のセルフカバーやKing Gnu等の現代的アプローチでは、テンポの差異や16ビートのゴーストノート、ベースラインのグルーヴ解釈が演奏の完成度を左右する。
【2026年最新】『飾りじゃないのよ涙は』コード進行の骨格と原曲キーの真実
中森明菜のボーカルが持つ鋭利なエッジと憂いを最大限に引き出した原曲のキーは、哀愁を帯びた響きを持つEm(ホ短調)です。テンポ設定は疾走感あふれるBPM 154前後。当時の歌謡曲シーンにおいて、アイドルの楽曲としては異例とも言えるハイスピードなロック/ファンクのダイナミクスが注入されていました。
井上陽水が紡ぎ出したコード進行の神髄は、サビのドラマティックなコード展開に凝縮されています。「飾りじゃないのよ涙は HA HAN〜」と歌い出されるサビ部分の進行は以下の通りです。
【サビの基本コード進行】
| Em | Am | D | G | C | Am | B7 | Em |
音楽理論的に見ると、この進行はジャズやクラシックの名曲にも多用される「4度進行(サークル・オブ・フィフス)」の変形です。Emから始まり、4度上のAm、その4度上のD、さらにGへと、ルート音が力強く跳躍しながら着地点を探していきます。そして終盤の「C → Am → B7」というブリッジを経て、ドミナント(B7)から主和音(Em)へと強烈に解決するカタルシスを生み出しています。
井上陽水自身が後に名盤『9.5カラット』(1984年12月発売)で披露したセルフカバー版では、テンポをやや抑え、アコースティックなスウィング感を前面に出したアレンジへと変貌を遂げています。一方、2020年代にKing Gnuのメンバー周辺が提示した再解釈やトリビュートセッションでは、原曲の萩田アレンジが持つ攻撃的なブラスセクションと重厚なシンセベースを、現代のオルタナティブ・ロック特有のタイトなビートで再構築しており、このコード進行がいかに強靭な骨格を備えているかを物語っています。

初心者でもすぐ弾ける!ギター簡単コード譜と難関コード攻略法
ギターを始めたばかりのプレイヤーがネット上のコードサイトや「U-フレット(Uフレット)」等で検索した際、真っ先にぶつかるのが「B7」の押さえ方と、右手のリズムキープの難しさです。『飾りじゃないのよ涙は』のコード進行を徹底解説しながら、初心者でも今夜から弾ける実践的な簡易化アプローチをお伝えします。
まず、基本のキー設定ですが、アコースティックギターでの弾き語りにおいてはカポタストなし(Capo 0)のEmキーが最も推奨されます。Em、Am、C、D、Gといった主要コードはすべて開放弦を交えたローコードで構成されているため、バレーコード(セーハ)を連発する必要がありません。
【挫折しやすい難関コード「B7」の攻略】
この楽曲の推進力を司るドミナントコード「B7」は、通常4本の指をフレット上に広げる必要があり、初心者が音を詰まらせやすい最大の関門です。ここで指が止まってしまう場合は、響きを損なわずに押さえやすさを追求した「簡易フォーム」を活用してください。
- 通常フォーム:5弦2フレット(中指)、4弦1フレット(人差し指)、3弦2フレット(薬指)、1弦2フレット(小指)
- 初心者向け簡易フォーム(B7-9風):小指を省略し、1弦を開放弦のまま鳴らす(押さえるのは5弦・4弦・3弦のみ)。これだけで左手の負担は激減し、コードチェンジのスピードが劇的に向上します。
さらに、原曲の疾走感を再現する最大のバッキングのコツは、左手による「ブラッシング(ミュート)」と「アクセントの配置」です。すべての拍を等しい力でストロークすると、童謡のような平坦な演奏になってしまいます。2拍目と4拍目に鋭いダウンストロークを落とし込み、弦からわずかに左手の力を抜いて「チャッ」というパーカッシブな音を混ぜることで、アコースティックギター1本でもバンドサウンドさながらの緊迫感を演出できます。
ピアノコードでアプローチする場合は、左手で「E - B」のルートと5度をオクターブで歯切れよく刻み、右手は裏拍(2拍目裏、4拍目裏)にコードをシンコペーションさせて配置するのが、原曲の萩田光雄アレンジに肉薄するポイントです。
【徹底比較】バージョン別演奏データと難易度分析
名曲ゆえに数多くの名演が存在する本作。原曲の中森明菜バージョン、井上陽水によるアコースティック・アプローチ、現代を代表するKing Gnu周辺のモダンロック解釈、そして初心者向け弾き語りアレンジの違いを客観的データで比較しました。
| バージョン・形態 | キー・テンポ(BPM) | 演奏難易度・特徴 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 中森明菜 原曲版 (1984年) | Key: Em BPM: 約154 | ★★★★☆ 萩田光雄編曲による緻密な16ビートカッティングと高速ブラス。 | 歌謡曲の枠組を破壊した記念碑的テイク。リズムの突っ込みとキレが完璧に同調している。 |
| 井上陽水 セルフカバー (アルバム『9.5カラット』) | Key: Am/Bm等 BPM: 約138〜142 | ★★★☆☆ テンポを落とし、ファンキーかつレイドバックしたグルーヴ重視。 | 大人の色気とアコースティックの温かみが際立つ。弾き語りの表現力向上に最適な見本。 |
| King Gnu / 常田大希系 モダン再解釈アプローチ | Key: Em(原曲準拠) BPM: 約150〜154 | ★★★★★ 歪んだベース、鋭角的なコードボイシング、複雑なゴーストノート。 | 昭和の名曲を現代のオルタナティブ・ファンクへと昇華。ベースとドラムの阿吽の呼吸が必須。 |
| 初心者向け簡単ギター (アコギ弾き語り) | Key: Em(カポなし) BPM: 約120〜135推奨 | ★★☆☆☆ 基本ローコード+簡易B7。テンポを落としてストロークを安定化。 | まずはBPM120程度から始め、右手のリズムを崩さずに歌う感覚を養うのが最短の上達ルート。 |

【実態検証】プレイヤーの生の声と現場目線で見えた演奏の壁
音楽教室の指導現場やSNSのコミュニティ、大手知恵袋などの投稿を精査すると、この曲に挑むプレイヤーたちが抱えるリアルな葛藤が浮かび上がってきます。
「コード自体はEmやAmなど知っているものばかりなのに、原曲に合わせて弾くと右手が追いつかず腕がパンパンになる」
「ベースラインを耳コピしようとしたが、オクターブの跳躍が激しすぎてタブ譜なしでは運指が迷子になる」
「アコギ1本で弾き語りをすると、Aメロの早口な譜割りに気を取られてストロークが止まってしまう」
現場指導を行うプロギタリストへのヒアリングによると、最大の挫折要因は「テンポに対する焦り」にあります。原曲のBPM 154という数値は、16分音符のストロークを刻むギタリストにとってかなりの高速領域です。最初から原曲と同じ速度で練習すると、ピックの角度がブレ、無駄な筋緊張が生まれます。まずはメトロノームをBPM 110〜120まで落とし、コードチェンジのタイミングと左手のミュート感覚を体に刷り込むのが鉄則です。
また、ベーシストの間で常に話題となるのが「ベース タブ譜」における萩田アレンジの再現性です。Aメロからサビにかけて鳴り響くベースラインは、単なるルート弾きではなく、シンコペーションを伴ったオクターブ奏法とタイトな休符で構築されています。音を長く伸ばしすぎず、右手ミュートで弦振動を小気味よく切るスタッカートの意識がなければ、あのドライで都会的なグルーヴは生まれません。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|「カポ設定」とリズムの罠
ネット上の情報や動画プラットフォームでは、時として演奏者を混乱させる誤解が散見されます。取材班が検証した代表的な2つの盲点を是正します。
誤解①:「歌いやすいようにカポを付ければ付けるほど簡単になる」という罠
声域が低めの男性が中森明菜のキー(Em)で歌う際、オク下げ(1オクターブ下)で歌うか、あるいはカポを付けて移調を試みることがあります。しかし、安易にカポを5フレットや7フレットなど高い位置に装着すると、ギターのネック幅が狭まり、コードの響きが極端に高音寄り(ウクレレ的)になります。その結果、楽曲が本来持つダークで重量感のある疾走感が損なわれてしまいます。
男性が弾き語りを行う場合、もっとも自然な響きを得る方法は「カポなしでAmキーに移調する(Am - Dm - G - C...)」か、井上陽水のように「カポ2でDmフォームを弾く」設定です。ボーカルの音域と楽器の低音成分のバランスを見極める必要があります。
誤解②:「原曲の勢いを出すには、とにかく力強いフルピッキングが必要」という誤謬
中森明菜の気迫あふれるボーカルに引っ張られ、ギターのストロークを常に全力で振り下ろしてしまう演奏者が多く見られます。しかし、原曲のバックトラックを丹念に聴き込むと、ギタートラックは驚くほど繊細に音量をコントロールされています。音の強弱(ダイナミクス)がなく、常に音量MAXでガシガシと掻き鳴らすと、ボーカルの早口なリリックをかき消してしまいます。サビ前の「少し横を向いただけの異次元〜」のビルドアップに向かって徐々に音量を上げていくクレッシェンドの構築こそが、聴き手を惹きつける真のポイントです。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
『飾りじゃないのよ涙は』は、プレイヤーのレベルによって得られる音楽的収穫が大きく異なる楽曲です。自身の練習目的と照らし合わせ、以下の基準を参考にしてください。
【この曲への挑戦をおすすめできる人】
- 16ビートのバッキングとカッティングを基礎から鍛え上げたい人:ブラッシング、ミュート、シンコペーションなど、ファンクやロックに必要な基本技術がすべて詰まっています。
- オープンコードをマスターし、曲全体の推進力を1本で表現したい弾き語り奏者:サビのコード進行が自然と身体に入れば、他の昭和歌謡やJ-POPの王道進行への応用力が飛躍的に高まります。
- リズム隊(ベース・ドラム)とのアンサンブル強化を目指すバンドマン:キレの良い休符の共有が必須となるため、バンド全体のタイトさを磨く練習曲として最高峰の教材になります。
【今すぐの挑戦には慎重になるべき人】
- ギターを手にして1週間以内で、コードチェンジ自体にまだ迷いがある完全超初心者:BPM 150超のスピード感に圧倒され、フォームを崩したり手を痛めたりするリスクがあります。まずはゆったりとしたバラードで指の筋力をつけてから挑むのが賢明です。
- コードのルート音や度数の関係を意識せず、タブ譜の数字だけをなぞりたい人:この曲の良さはコード進行の流れ(解決感)にあります。コードネームのつながりを意識できないと、単調な指の運動で終わってしまいます。

【飾りじゃないのよ涙は コード】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ギター初心者が最短で弾けるようになるカポ位置とコードは?
A1:カポなし(Capo 0)のEmキーが最短ルートです。登場するEm、Am、C、D、Gはすべてギターを始めて最初に覚える基本ローコードです。最大の関門である「B7」だけは、小指を使わず1弦を開放にする簡易フォームを採用すれば、指の移動がスムーズになり即日でサビの進行を回せるようになります。
Q2:原曲のテンポ(BPM)が速すぎて歌とギターが合いません。効果的な練習法は?
A2:原曲のBPMは約154ですが、練習時はBPM 110〜120までテンポを落としてください。まずは「ワン、ツー、スリー、フォー」の頭拍でコードをジャラーンと1回だけ鳴らす「全音符ストローク」で歌う練習を行います。歌詞の言葉がどのコードのタイミングで発声されているか(コードとリリックの噛み合わせ)を身体で理解してから、徐々に右手のストロークを細かくし、テンポを上げていくのが最も確実なステップです。
Q3:ピアノやキーボードで弾き語りをする際の最大のコツは何ですか?
A3:右手で和音をベタ弾きし続けないことです。左手で低音のルートと5度を「ズン・チャッ・ズン・チャッ」とタイトに刻み、右手はボーカルのメロディの隙間を縫うように、裏拍で歯切れよく和音をスタッカートさせます。ペダルを踏みっぱなしにすると音が濁って疾走感が消えてしまうため、コードチェンジごとに的確に踏み替えるドライな響き作りが鍵となります。
Q4:井上陽水バージョンやKing Gnuのような現代的カバーに近づけるには?
A4:井上陽水風を目指すなら、テンポをBPM 135前後に落とし、シャッフル気味のスウィング感を加味してボーカルを拍の後ろにレイドバック(遅らせて)歌うのがコツです。King Gnu風のモダンアプローチを目指すなら、ベースに歪み系エフェクター(オーバードライブやファズ)を薄く噛ませ、ギターは低音弦をミュートした単音カッティングを交えることで、オルタナティブな重厚感とスピード感を再現できます。
まとめ:名曲の疾走感を自らの指先で鳴らすために
昭和の歌謡曲シーンを震撼させ、40年以上の歳月を経てもなお新しい世代を惹きつけ続ける『飾りじゃないのよ涙は』。その圧倒的な魅力の根底には、井上陽水の研ぎ澄まされたメロディセンスと、萩田光雄の計算し尽くされたグルーヴィなコード進行が存在しています。
速いパッセージや難関コードに惑わされる必要はありません。まずは無理のないテンポと簡易コードからスタートし、右手のブラッシングと休符の心地よさを指先で掴み取ってください。コードの移り変わりが生み出す劇的なドラマを理解したとき、あなたの演奏する『飾りじゃないのよ涙は』は、聴き手の心を揺さぶる本物の輝きを放ち始めます。 (出典: 飾り じゃ ない の よ 涙 は コード(Yahoo!ニュース))